January 2013

ARTICLE ONE『Colors & Sounds』

twi2カナダの4人組エモコアバンドの2nd.。ピアノやヴァイオリンがフィーチャーされ、ポップでフュージョンでダンサブルなAORといったところ。ウェットなポップサウンドが基軸になっているので、ピアノやヴァイオリンがガンガン前に出ることもないし、ディストーションのきいたギターもない。ごくフツーにエモと言い切ってしまうにはもったいないくらい色鮮やかで華のあるキラキラなメロディーを展開させている。チルアウトしたゆるい音ではなく、肉厚で音数が多くエネルギッシュな点は大きな特徴。キャッチーで無国籍なメロディーは、シンセを多様しているせいか、どこか異空間に迷い込んだような妙な広がりのあるスペース感を体験する。爽快で軽やか、単調にならずセンスの良い変化と上品なエモポップを繰り広げている。このエバーグリーンは普遍!
2008.06.02 リリース
amazon.co.jp

ALKALINE TRIO『Agony & Irony』

twi21997年にシカゴで結成された3ピース・ゴシック・エモバンドの6枚目。この人たちのエモサウンドは、もの悲しいとか、せつないだけでは語れない。もう人生を何度も生きた人のコトバのように、理屈ではなくリアルな説得力がある。聡明で簡潔なリリックで人生の摂理を説いている。結果としてもの悲しかったりせつない音になっているのだが、失意と絶望の底で泣いているだけようなネガティヴなものではない。生命力エネルギーが火花を散らし鼓動している。LIVING END かと思うほどのむき出しの初期ロックサウンドまで登場する。ギスギス尖っていたり、キャッチーなだけのメロとはちがう質感と体温のある日常の空気感。そう、特別ではなく、日常ボクたちが目にしている世界の出来事が凝縮されている。人生の縮図を投影しながらひとつひとつの曲が連なって川となり心へと流れ込んでくる。心を貫通した川の流れは、またボクたちが呼吸をする日常へと還流していく。「自分たちの成長過程で大きな第一歩を踏み出した」とメンバーが言う通りの重みと意味のある一枚!
2008.07.23 リリース 
amazon.co.jp

AMBERIAN DAWN『RIVER OF TUONI』

twi2フィンランドのゴシック・メタルバンド。ターヤがいた頃の NIGHTWISH を思わせる Heidi Parviainen のオペラチックなボーカルが、このバンドの世界観を荘厳につくりあげている。11歳からピアノのレッスンを受け、14歳から本格的にクラシック・ボーカルを学んだ。バンドキャリアとしては、デスメタルバンドでキーボーディストとしての経験がある。そんな彼女のソプラノボイスに加えて、テクニカルなギターが楽曲を彩る。シンフォニックなテイストもエッセンスとして光る。それに日本のアニソンや歌謡曲にも通じるメロディーも心地よく響く。ただし、聴きこんでいくとわかるが、エピックでファンタジックなスケール感や、聖なるオーラなどが薄い。ドラムに深みが足りないのと、音がサラウンド的に広がっていかないのが原因か。ただ、この手のバンドにはあまり見られないスピード感と超絶ギターテクを味わえるのは大きなメリットだ。今後大化けしそうなポテンシャルを持つ1st.アルバム。
2008.03.26 リリース 
amazon.co.jp

ALKEMYST『Through Painful Lanes』

twi2フランス産シンフォニック・メロディック・パワー・メタルバンドの2nd.。なんという変調子なんだ。水を勢いよく放出するホースから手を離したみたいに予測不可能な動きをしつづける。もちろんこういうプログレチックな曲構成にはテクニカルなドラミングや超絶ギター付きものだが、やっぱり彼らもそのパターン。何をどのようにプレイしているのかさっぱりわからないくらいのテクニック。そしてどこかイタリアのシンフォニック・メタルバンド SECRET SPHERE のような香りがプンプン……と思っていたら、SECRET SPHERE の元Vo.ラモン・メッシーナ がメンバーにいるではないか。変則的で技巧派なだけではなく、中低音重視のズッシリとした重みと質感のあるサウンド。ハイトーンボーカルにシンフォニックはもちろん、時折入るアコギだけのパートなど、鮮やかでスリリング。2001年にデビュー・アルバムをレコーディング中、ハードディスクのデータが飛んでしまい、残ったデモ音源だけでフランス版『Rock Hard』誌のコンペを勝ち抜き、大きな支持を得たというから、彼らの実力は計り知れない(デビューアルバムは REC し直して2003年にドロップ)。変則三昧だと途中で飽きてしまうが、テクのみに走らずバランスのとれた緩急で、時には臭メロまで織り交ぜ、全く飽きさせない。
2008.04.23 リリース
amazon.co.jp

BETA WOLF『DARK DAYS』

twi22011年にロサンジェルスで結成されたメロコアバンドのデビュー作。「SUMMER SONIC 2011」で人気を得て、秋にリリースとなった。THE ATARIS っぽいハスキーボイスにノスタルジックなアメリカンロックとパンクを融合させた大人なサウンド。初期衝動というより、よく熟成された渋みのあるロック色が強い。もちろん若いバンドのデビュー作なので、フレッシュでオヤジ臭さは全くない。若手バンドがセピアトーンの極上ロックをプレイすると実に魅力的に響くから不思議だ。せつなくパワフル、そして世界中のリスナーにとってフックとなる美旋律。心地よく歪んだギターに、際立ったベースライン。もうそれだけでヒットの要素は十分。本当に実力がないとこの渋味が出ない。わたしが初めて音源を聴いたとき、すでに3~4枚アルバムを出している中堅バンドかと思った。しかも、行儀よく上手に作りましたというより、バチバチにとがって暴れまくってますけどオールドスタイルですと主張する音たちが、ガンガンに迫ってくる。危険なくらいすごいバンドのデビュー!
2011.10.19 リリース 
amazon.co.jp

THE BAYSIDE『KILLING TIME』

twi22000年ニューヨークで結成されたエモコアバンドの5枚目。BAYSIDE と言えば、ハードなのに底なしに悲哀に満ちたメロディーが特長。今作も救いのないほどの悲しい旋律が隅々まで張り巡らされている。サウンドは行進曲のように力強くポジティヴで生命力がみなぎる。このアンバランスさも彼ら独特の味。オーセンティックでローファイなパンクも期待を裏切らない野性的な魅力だ。相変わらずストップ&ゴーも絶妙で、しっかり高低差をつけた楽曲構成は見事と言うしかない。ほとんどブレスなしでリリックを放射する歌メロや、豪快にゴツっと熱唱する男くさいVo.が快感で、特殊な癒し作用がある。そう、このハードコアで奥深い悲しみとセピアパンクは、強烈な快感と癒しなのだ。永遠に時間の停止した無害ドラッグ・アルバム!
2011.02.22 リリース
amazon.co.jp

THE BOY AND HIS MACHINE『Count On It!』

twi22007年夏にニューヨーク州で結成されたメロコアバンドの2nd.。ストレートで王道のエバーグリーンなメロコア。ジャリジャリのギターにすぺてがサビになるシンガロング系美メロと軽快なリズム。どこをどう切っても期待を裏切らない青春パンクの初期衝動を堪能できる。手数の多いドラミングは、深みのあるスネアをはじめ、バスドラがズシズシ響いてきて瞬時にピークのハイテンションになれる。ベースもガンガンうなりをあげて暴れまわる。やんちゃでキラキラサウンドの顔をしているものの、実は青臭さはなく、地に足をつけてじっくり練り込まれた音になっている。青春パンクと書いておきながら矛盾するが、中堅どころの実力派バンドがシンプルで直球ど真ん中のパンクアルバムを作るとこんな感じになると思う。音質のかなりのクオリティーでチープさがない。妙に聴きこみたくなる生命力の強い作品群だ。
2010.11.17 リリース
amazon.co.jp

BAD RELIGION『THE DISSENT OF MAN』

twi2デビュー30周年を記念する15枚目のアルバム。彼らのやっていることは何も変わっていないのに古くさく感じない。ルーツとかノスタルジック、レトロといった言葉が似合わないベテランバンド。むき出しのエネルギーと荒々しさと同居するせつないメロディー。若いバンドだけが持つギラギラしたピュアなオーラすら感じる。浮き沈みがなくどこか一本調子でシンプルかつ軽快なテンポ。あらゆる装飾を脱ぎ捨て、音楽を丸裸にしたようなサウンド。こんなにも単純なのに、胸が熱くなる。ワクワクする。トリックのないミステリーで読者を感動させるようなものだ。繰り返し聴いていてもまったく飽きないのも不思議。ジャンルはまったく違うが、たとえばミスチルなんかが30年くらいやっていたらこういうバンドになるんだと思う。きちんと今の時代の空気で呼吸して、それでいて時代に媚びないし音楽は色あせないし、いつどんな時に聴いても新鮮だし発見がある。音楽の神様が魔法をかけたみたいな、そういうバンドはなかなかいない。
2010.09.28 リリース
amazon.co.jp

THE BIGGER LIGHTS『THE BIGGER LIGHTS』

twi22007年にヴァージニア州で結成されたメロコアバンドの1st.アルバム。 典型的なメロディアスなポップパンク。時折エモ全開なナンバーや、しっとりバラードなどを織り交ぜながら、メロコアファンの琴線に触れる楽曲を紡ぎだす。ザラっとしたギターとポップではじけるキーボードやパーカッションの相性もグッド!何も考えずに頭を真っ白にしてエンドレスで流しておいてもよいし、ガンガンにシンガロングして踊り狂ってもいいし、バンドには失礼だがBGMにしてもよいマルチなアルバム。ピアノとアコギのポップバラードはメランコリックで、情感豊かなボーカルも聴きどころ。こういう王道バンドは、どこか一本調子になる傾向が強いが、この表情のあるボーカリングと多彩なメロディーのおかげで何度聴いても鮮度が落ちない。泣きのギターが時折レトロな味わいで入り、どこかノスタルジックでブルージーなテイストも加味されて、間口の広いサウンドを生成している。時にはエアロスミスやボンジョヴィのバラードナンバーを彷彿させるほど。このバラエティー感もバンドの大きな魅力。
2010.04.07 リリース
amazon.co.jp

BOWLING FOR SOUP『SORRY FOR PARTYIN'』

twi21994年に結成されたテキサス州出身のメロコアバンド。結成15周年で、10枚目のアルバムになる。やっていることが永遠の青春パンクなので、まだ若いイメージがあるが、実はベテランバンド。キーボードがバウンスして、ひたすらダンサブルなリズムに、80年代テイストなロックサウンド(ときには60年代あたりまでさかのぼる)でパックされたパーティー・パンク。だれが何と言おうと我が道を行く BOWLING FOR SOUP ならではの高揚感あふれる天然豪快ピュアサウンド。相変わらず強烈なおバカキャラだが、本当に彼らは音楽を愛し、真剣にやりたい音楽を心からやっているんだなあと納得してしまう。実力派バンドで、やたら音楽センスが良いだけに、まったく憎めない。むしろ、もっとハメをはずしてもいいよと応援したくなる。それでいて、しっとりせつなく聴かせるミッドナンバーではほろっとさせる。こいつら天才だな。
2009.10.13 リリース
amazon.co.jp

BOYS LIKE GIRLS『LOVE DRUNK』

twi2ボストン出身の4人組メロコアバンドの2nd.。2006年に出したデビューアルバム「BOYS LIKE GIRLS」の大ヒットを受けての2枚目。それゆえ、バンドの真価が問われる鬼門のアルバム。彼らの特徴と言えば、ポップでキュートなグッドメロディーと、低いところから高いところまで広くピッチをカバーできるすぐれたボーカルだ。そのあたりの磨きぐあいを確かめようという気持ちでこの2枚目を聴いてみた。1曲目を聴いて、自分はなんて低次元な聴き方をしているのかと思い知らされた。バリエーション豊かで深みのある極上のメロディーと、余裕のベテランバンド並みのスケールの大きな楽曲にブッ飛んでしまった。ボーカルは何オクターブも出ますよーという主張なんかより、情感に訴えかけてくるとても艶っぽいものになっている。時折ストリングスを入れたり、女性ボーカルを交えながら、より抒情的な世界を編み上げている。そして古典的なロックへの回帰も多数見られる。うーん、何という進化だ。引き出しが数10倍増えただけでなく、まるで別バンドに生まれ変わったかのようなドープでよく熟した大人のバンドへと数段ステップUPした感じ。まさに名盤だ。
2009.09.08 リリース
amazon.co.jp

BROADWAY『KINGDOMS』

twi2フロリダ出身5人組スクリーモバンドのデビューアルバム。SAOSIN や SECRET & WHISPER を思わせる透きとおったスクリームと抒情に満ちた旋律が最大の特徴。本当に SAOSIN の鮮烈で衝撃的な登場以降、この手の透明感のある超高音ボイスのスリリングなスクリームが次々と出てくるのは良いことだと思う。カウンターメロディーの冷たくキラキラと散乱したギターに、うなりをあげるスラッシュ・メタルのような凄みのあるギターのアンサンブル。そこに透明ボーカルが化学反応する。異次元へと手をぐいっと引っ張られそうな危険な香りがプンプン。いや、彼らの楽曲そのものがすでに異次元なのだ。アグレッシヴなドラミングに腰のあるハイトーンボーカル、時折入るデス声でのスクリーミングも良いアクセントになっている。加えてM-10のピアノだけで聴かせるエモバラードは、まさにジャケのイメージにピッタリの詩的な世界。
2009.07.07 リリース
amazon.co.jp

THE BAYSIDE『SHUDDER』

twi22000年ニューヨークで結成されたエモバンドの4枚目。2005年にツアーの移動中に事故に遭いドラマーが亡くなり、解散が危ぶまれたが、2007年に3rd.がドロップされ、2008年にはこの4枚目がリリースされ、バンドはみごとに継続された。BAYSIDE らしさは 以前となにも変わらずエモ全開の病みそうな悲しいメロディーに、ぶっきらぼうでワイルドなボーカルという意外なとりあわせ。それが強い閃光となって全身を貫き世界の隅々まで放射される。ゴツゴツとしたむき出しのサウンドは、迫力のある低音域とザクザクのギターが暴走し、そこにノスタルジックな旋律が横断する。初期ロックサウンドの空気感と、カセットテープに録音したようなローファイな音色が心地いい。繊細で折れそうなガラス細工チックなエモは山ほどあるが、こんなにも荒っぽいのに、底辺が見えないほど深い悲しみを抱え込んだエモサウンドは珍しい。
2008.10.04 リリース
amazon.co.jp

CONDITIONS『FLUORESCENT YOUTH』

twi2アメリカ、ヴァージニア州リッチモンド出身のスクリーモバンドの1st.。SAOSIN、SECRET & WHISPER らと同じく、せつない美メロにハイトーンボーカルでスクリーミングするタイプ。重低音がズドーンと巨大な波動となって響くハードコアサウンドが中核を成している。攻撃的で破壊力満点のダイナミックな楽曲に胸が高鳴る。そのためか氷のように冷たいハイトーンの叫びが、より生々しく大迫力で飛び込んでくる。厚みのある美しいコーラスもゾクゾクするほど魅力的。鋭いナイフが光を反射して輝いているようなギターのカウンターメロディーが濃密度の空気を切り裂く。ガラス張りの高層ビルに無数の銃弾をぶち込んでいるシーンをスーパースロー再生しているようなシーンが頭の中に浮かぶ。危険すぎる美しさに時を忘れてうっとりしてしまう。ストリングスを生かしたエモバラードは魂が天界にゆっくり昇っていく神聖なレクイエム。これはあまりにも美しい破滅と再生のデビューアルバムだ。
2010.09.13 リリース
amazon.co.jp

THE CLASSIC CRIME『VAGABONDS』

twi22004年にアメリカ・シアトルで結成されたクリスチャンバンドの3rd.。全米クリスチャンチャート6位を記録。心地よく弾みの効かせた極上のメロコア・ナンバーはライヴ映えするものばかり。美しいスクリーミングも軽快にドライブしている。ズシっと骨のあるサウンドは、明確に緩急をつけてONとOFFを頻繁にスイッチしているのも飽きない点。激しく空気を切り裂いたかと思うと、しっとり憂いのあるメロディーでしっとり雨を降らせたりもする。ベースをぐんと前に出して力強くクレッシェンドしていくエモ曲や、シンフォニックな濃厚ストリングスをフィーチャーした曲など、つぎは何が出てくるのかとつい期待してしまう引き出しが多い。心憎い楽曲構成と幅の広さは圧巻。とにかくよく練りこまれたワザありの心に突き刺さるアルバム。
2010.04.06 リリース
amazon.co.jp

Cadillac Fun Drivers『Cadillac Fun Drivers』

twi22009年にデビューしたイタリアの3ピース・メロコアバンド。プロデュースしたのは、同じくイタリア・メロコアシーンの重鎮、VANILLA SKY。女性ベースVo.のシルビアの巻き舌ハイトーンボーカルは、としても新鮮。イタリアのパンクシーンの波が日本にドカンと押し寄せることはあまりないので、なおさらそう思うのかもしれないが、アメリカやイギリスのパンクシーンにはない新しい空気感。シンセを使ったウェットな仕上がりなのに、流行りのエレクトロ臭さはあまりなく、天然なダンサプル都会的ポップパンクになっている。マイケル・センベロの「マニアック」(80年代に大ブームとなった映画『フラッシュダンス』の挿入歌)をカバーしているのだが、これが見事にハマりまくりで痛快! ピアノをフィーチャーした熱く美しいエモバラードから、装飾満載のキラキラポップまで、アナログとデジタルの二刀流は実に興味深い。だって、これらが1枚のアルバムに自然と調和しているのだから、やっぱり黄金比のバランスなんだろうなあ。パワフルなのに、やわらかい鳥の羽根に触れているような感覚と、万華鏡のアナログチックな幻想美が広がる不思議なデビュー作。
2009.10.21 リリース
amazon.co.jp

CAIN'S OFFERING『GATHER THE FAITHFUL』

twi22007年夏、SONATA ARCTICA を脱退したヤニ・リマタイネン(G)が、STRATOVARIUS のVo.ティモ・コティペルトらと結成したメロディック・パワー・メタルバンドのデビュー作。シンフォニックで壮大なドラマ展開と、初期の SONATA ARCTICA を思わせる美旋律、スケール感がたまらない。めまぐるしい転調や変調子などに頼らず、優雅で気品さえ漂う巨大幻想空間を作り出している。重低音の音質もやわらかく温もりのある広がりを見せ、表現豊かな弦楽隊を使い、よりドラマ性・ストーリー性のあるサウンドに仕上げている。ティモのねばり気のあるハイトーンボーカルが、オーケストレーションに絶妙にからみつく。DRAGONFORCE ばりのスピーディーな楽曲から映画のクライマックスを想起させるパワーバラードまで、リスナーの心をしっかりとらえて離さない。緊張感を持ってラストまで激走できる快感と感動の連続。ついに歴史的第1章が幕を開けた。
2009.07.22 リリース
amazon.co.jp

CHEMICAL VOCATION『A Misfit In Progress』

twi2スウェーデン出身の5人組メロコアバンドのデビューアルバム(現地では2008年のリリース)。「TASTE OF CHAOS 2008」のスウェーデン公演に出演し、STORY OF THE YEAR や ATREYU らと共演している。このアルバムでメタリックなスクリーモから脱し、スピードに乗ったメロディック・エモへと大きくシフトしているが、言われてみればケイオスに出演してもおかしくないくらいのエネルギッシュなハードコア・サウンドは健在だ。北欧独特の哀メロというより、アグレッシヴでハードなメロコアに、エッセンスとして哀愁漂うメロディーラインが練りこまれた印象。何よりうなりをあげて爆走する疾走感が強烈で、そこにやや古臭いロックのテイストがよくマッチしている。美しい破壊者となってスクリーミングするメタリックな重厚さと、キラキラと光を放つ鋭角的な音の洪水に酔いしれる。ザラついたギターの感触や、プレスのほとんどない歌メロ、攻撃的なコーラス、暴れまくるドラミング、時折ハッとするようなロマンティックなオブリガートが入ってくる。何という絶妙なバランスなんだ。すべてがキャッチーでドロ臭くなくオシャレで心を揺さぶられる。
2009.05.20 リリース
amazon.co.jp

DRAGONFORCE『Power Within』

twi2香港生まれのギタリスト、ハーマンを中心に1999年イギリスで結成されたメロスピ・メタルバンドの5枚目。ボーカルが脱退した後、ボーカル抜きでインスト・メタルバンド状態でライヴを続けたことからもバンド存続に強い意欲が感じられる。新ヴォーカリストのマーク・ハドソンがオーディションで決定。線はやや細いものの DRAGONFORCE のバンドテイストはしっかり魂に刻んでいる。ファンがバンドに期待するのはスピードとパワーと快感を覚える激メロな展開。その期待を裏切ることなく、激疾走かつドラマティック、そしてメランコリックなサウンドが心地よく全身を貫く。歌謡曲チックや、80年代クサメロあたりもかすめながら、バラエティーに富んだ楽曲が詰まっている。神ワザ的な超絶ギターテクはそのままに、哀愁のキーボードや激走するドラミングなど、聴きどころ満載。
2012.04.11
amazon.co.jp

DESTINE『ILLUMINATE』

twi22006年にオランダで結成されたメロコアバンドの2枚目。プロデューサーは、Paramore, New Found Glory らを手掛けた James Paul Wisner。パワフルでスピード感があり、美メロ、もちろん透き通るようなハイトーンボーカルとくればヒットを確約されたようなもの。ずっと聴いていたいような心地よさは、精神にとてもやさしい。同時に攻撃的なパンキッシュなサウンドは、ワクワク感をライヴで暴れまくりたい気持ちをかりたてる。キラキラした透明感と心地よく歪んだギターに、抜けのあるスネアが曲をリードする。ミッドチューンや SIMPLE PLAN あたりを連想させるメロコア全盛の原点的なナンバーや、ピアノをフィーチャーしたエモ曲など、おいしい要素がたっぷり。良い意味で原点を見つめつつける色あせない不動のサウンド!
2012.04.02
amazon.co.jp
ギャラリー
  • courage my love『Becoming』『For Now』
  • courage my love『Becoming』『For Now』
  • AMBERIAN DAWN『Magic Forest』
  • VICTORIUS『DREAMCHASER』
  • STREAM OF PASSION『A WAR OF OUR OWN』
  • DERDIAN『HUMAN RESET』