DERDIAN『HUMAN RESET』

derdian-human_reset_front_cover1998年にイタリアで結成されたメロディック・メタルバンドの5th.。2013年に発表した4作目『LIMBO』のボーナストラックには『聖闘士星矢』のOP曲を収録して話題になった(vo.は何とMINSTRELIXのVo.Leo Figaro)。そして今作になるわけだが、初期のシンフォニックでメロスピかつゴシックなダイナミックさはやや薄れ、それぞれの要素を内包しつつニュートラルなメロディアス・メタルに着地している。ニュートラルという言い方が誤解を招きそうだが、角がとれてつまらない音になったわけではない。外へ外へと面積を広げていくのではなく、内側に向けて高濃度に圧縮された超ハイブリッドなメタルサウンドが実現している。心拍数の上がるスリリンクで大胆な転調や、シンフォニックな臨場感や高揚感、重厚サウンドは健在。チェンバロやネオアコ、哀愁の香りが隠し味で上手く効いているのも、丁寧で繊細なアレンジの証だろう。聴くほどに熟成していくアルバム。安心して幻想異世界の音色に身をゆだねられる。
2014.07.23
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DRAGONFORCE『Maximum Overload』

334291999年にイギリスで結成されたメロスピ・メタルバンドの6枚目。Vo.マーク・ハドソンが加入して2作目になるが、このアルバムで明らかに歌メロが変化している(ワーナーに移籍したことや初めて外部プロデューサーを起用したことも関係しているのかもしれない)。キャッチーでクサメロならではの美しく流れる主旋律が、ところどころ変則的にバウンドするのだ。良く言えばどこかで聴いたようなメロディーの動き方をしない。そういう意味では新鮮だが、不協和音が混じっているような違和感があるのは否めない。サウンドはますますメロスピと技巧に磨きがかかって、人間技とは思えない超高速プレイは想像を絶する。転調するたびに物語性が深くなっていくのも見事だ。ドラゴンフォースのバンドカラーがワンフレーズごとに魅力的に発光する快感はたまらない。今後どこに向かうのかという興味も含めて聴き応え十分なアルバム。
2014.08.13
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DREAMTALE『WORLD CHANGED FOREVER』

Dreamtale2002年にデビューしたフィンランドのメロディック・パワー・メタルバンドの6th.。メンバーの入れ替わりが頻繁なバンドだが、絶対にクオリティーは落とさない。思わずアニソン起用したくなるほどキャッチーでパワフルな攻め方をしている。あくまでもクラシカルな王道路線をしっかり周到したうえで、時には優雅に時には泥臭く、そして光あふれる夢のファンタジー空間が猛烈な勢いで世界を敷き詰めていく。同時に新しい風を常に追いかける新鮮さが漂う。ベースラインのエッジを強烈に利かせて、残響音をなくしたデジタルチックなドラミング(逆に深いディレイをかけてしまうと一気に古臭くなる)に、疾走感と破壊力満点のギターワークは大満足。特筆すべきは、キーボードが幻想イメージを演出するためだけではなく、歯切れのいいリズムを強いアクセントで奏でている点だ。ワンダーワールドより、パワーワールドを選択したサウンドにDREAMTALEの攻めをやはり感じずにはいられない!
2013.04.24
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DELAIN『We Are The Others (Deluxe Edition)』

41NKuY8ixdL2002年にオランダで結成されたゴシックメタルバンドの3rd.。キーボーディストのマタインは、WITHIN TEMPTATION のギタリスト、ロバートと実の兄弟。サウンドもWITHIN TEMPTATIONに通じるゴシックの王道路線。言うまでもなくシャルロットの美声が生命線。情感豊かに歌い上げる神秘的なボーカルについ心が奪われてしまう。とてつもない悲しみを抱えて、それでも生きることに前向きな強くピュアな意志を感じる。抜けのいい重低音に不思議世界を構築するシンセが心地いい。過剰に着飾らずシンプルな音づくりなのに、厚みや深度が実感できる。心に深く染み入る楽曲なのだ。邪気で腐食してしまった心を癒すとともに傷の修復までしてくれる。時空の境界で至福のカタルシスを味わいつづける。そんな魔法にかかってしまいそうな天使の歌声と旋律だ。じっくり腰を据えて堪能したい極上のゴシックサウンド。ますます熟成されていくDELAINワールド!
2012.06.26 
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DELIRION『LOTUS』

Delirion22003年に結成されたスペイン出身の5人組シンフォニック・パワー・メタル・バンドの2nd.。ダイナミックな重低音にオーケストレーションが美しく編み込まれる。爽快に爆走していたと思ったら、お約束の突然の転調。しかもエレガントなピアノが流れる。もの悲しくもパワフルなボーカリング。美しさや幻想空間を探求しているだけでなく、力強いラウド感や、嵐のように降り注ぐ破壊力満点の高速ドラムがたまらなく快感! ハードボイルドな男くさいワイルドな風が吹いたかと思うと、繊細で優雅な気品が漂うサウンドへと変化する。そこに頻繁に顔を出すのがカウンターメロディーのピアノ。絶妙な演出となり、楽曲を炎にも氷にも導いてくれる。ギターワークひとつとっても激しいシーンと泣きのシーンがどんどん入れ替わる。アルバムのどこをどう切っても裏切られることなく、卓越した技巧と飽きない美しい旋律が躍動する。この興奮に終わりはない。
2010.05.26
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DRAGONLAND『UNDER THE GREY BANNER』

dragonland3スウェーデンで1999年に結成されたメロデック・パワーメタルバンドの5th.。2001年リリースの1st.と翌年の2nd.で展開された「DRAGONLAND CHRONICLES」3部作の最終章ということもあり、シンフォニックで壮大なエピック・メタルが繰り広げられている。高速ドラムビートにメロハーで爽快なギターワーク、クサメロ満載の楽曲だけでも大満足なのに、そこに加えて抑揚の効いたオーケストレーションが降臨する。言うまでもなく目まぐるしく転調して場面が変化していくスイッチングは魅力的。アイリッシュ系民族音楽まで取り入れ、華やいだスケール感のあるアレンジのうまさも光る。情感豊かにじっくり歌い上げるボーカリングも楽曲の世界観にジャストフィットして申し分ない。幻想新世界の終幕にふさわしいクライマックス感に満ちたハイスペックアルバム!
2011.12.21 
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DRAGONFORCE『Power Within』

twi2香港生まれのギタリスト、ハーマンを中心に1999年イギリスで結成されたメロスピ・メタルバンドの5枚目。ボーカルが脱退した後、ボーカル抜きでインスト・メタルバンド状態でライヴを続けたことからもバンド存続に強い意欲が感じられる。新ヴォーカリストのマーク・ハドソンがオーディションで決定。線はやや細いものの DRAGONFORCE のバンドテイストはしっかり魂に刻んでいる。ファンがバンドに期待するのはスピードとパワーと快感を覚える激メロな展開。その期待を裏切ることなく、激疾走かつドラマティック、そしてメランコリックなサウンドが心地よく全身を貫く。歌謡曲チックや、80年代クサメロあたりもかすめながら、バラエティーに富んだ楽曲が詰まっている。神ワザ的な超絶ギターテクはそのままに、哀愁のキーボードや激走するドラミングなど、聴きどころ満載。
2012.04.11
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DESTINE『ILLUMINATE』

twi22006年にオランダで結成されたメロコアバンドの2枚目。プロデューサーは、Paramore, New Found Glory らを手掛けた James Paul Wisner。パワフルでスピード感があり、美メロ、もちろん透き通るようなハイトーンボーカルとくればヒットを確約されたようなもの。ずっと聴いていたいような心地よさは、精神にとてもやさしい。同時に攻撃的なパンキッシュなサウンドは、ワクワク感をライヴで暴れまくりたい気持ちをかりたてる。キラキラした透明感と心地よく歪んだギターに、抜けのあるスネアが曲をリードする。ミッドチューンや SIMPLE PLAN あたりを連想させるメロコア全盛の原点的なナンバーや、ピアノをフィーチャーしたエモ曲など、おいしい要素がたっぷり。良い意味で原点を見つめつつける色あせない不動のサウンド!
2012.04.02
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DAUGHTRY『BREAK THE SPELL』

twi22006年にデビューしたドートリーの3作目。BON JOVI や NICKELBACK らとツアーする彼らは、今回もアメリカン・アリーナロックのストライクゾーンに投げ込んできた。どんな世代のどんな人たちも安心して聴ける、心にじーんとしみて、10年後、20年後に聴いても色あせない音楽。それを大衆音楽とバカにはできない。だって大衆を納得させて風化しない楽曲を作るのは至難のワザだ。琴線に触れるパワーバラードを歌わせたらドートリーは最高の仕事をする。久しぶりに彼らのアルバムを出してきて聴くと、音楽っていいなあとしみじみ思う。良い意味でゴツっとした男くさい硬派な楽曲が、心に着地するとやさしくあたたかく包み込んでくれる。胎児にもどってお腹の中で浮いているような安心感だ。
2011.11.22 リリース
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DIVINE ASCENSION『AS THE TRUTH APPEARS』

twi22005年オーストラリアのメルボルンで結成されたシンフォニック/ゴシックメタル・バンドの1st.。何という壮大でドラマティックな世界感だ。シンフォニックであることはもちろんだが、疾走するメロディアスな幻想曲に完全に心奪われる。ミュージカルやジャズシンガーの経験もある女性ボーカリスト、ジェニファーのゴシックテイストな神がかった声が楽曲をより肉厚にパワーアップさせている。憂いと悲哀、怒りや生命力などに満ちた深い迷宮が広がっている。無数の機関銃をエンドレスで乱射するようなドラミング。決壊を破壊する強烈なエネルギーと、0.1秒ごとに閃光が走るような突き抜けるギターの心地よさは気が遠くなるほどだ。一撃で消滅させるような激しさと鋭い魔力に支配された美の奇跡とも言えるアルバム。
2011.10.12 リリース
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THE DOWNTOWN FICTION『LET'S BE ANIMALS』

twi22008年夏にバージニア州で結成されたエモバンドのデビュー作。クリアーなハイトーンボーカルに時折スクリーミングが入る(それでいてエモ全開)。素直でストレートな美しいメロディーは一度聴いたらずっと頭の中で繰り返されるほどキャッチー。オーソドックスなエモメロで3ピースということもあり、密度の濃い音でもないし全身がバキバキと音を立てそうなくらい大きなエネルギーの音圧が迫ってくるわけでもない。それなのにシンプルすぎて物足りないとか、すぐに飽きてしまうなんてことは全くない。軽快なリズムとキラキラにはじける青春メロディーが心地よい。90年代エバーグリーンなパンクの風を現代に真空パックで届けたようなレトロモダンのピュアサウンド。文句のつけようがないくらい光り輝いている。2作目以降でどう成熟していくか楽しみな新人。
2011.08.03 リリース
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DREAMTALE『EPSILON』

twi22002年に『BEYOND REALITY』でデビューしたフィンランドのメロディック・パワー・メタルバンドの5枚目。一時はメンバーが次々と脱退して空中分解による解散もささやかれたが復活を遂げ、DREAMTALE 節により磨きがかかり、メロスピ色が濃くなった。スリリングで明快な疾走クサメロが終始炸裂し、キーボードとツインギターの美しいアンサンブルにメロメロになってしまう。冷たいマシーンのような無機質なメロスピではなく、抑揚に富んだアナログ感情的な楽曲展開。一歩まちがうとドロ臭くなってしまうが、光のように鋭く洗練された透明感のある様式美を表現している。特にM-4は秀逸! サントラっぽくシンフォニック要素を噴射しながら極彩色の光を魅力的に放っている。そう、ワントーンカラーではなく、ドラマティックで一曲一曲の存在感が濃厚でカラフルに配色されて聴きごたえ十分なのだ。
2010.04.20 リリース
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DERDIAN『New Era Pt.3 - The Apocalypse』

twi21998年にイタリアで結成されたシンフォニック・メロスピバンドの3枚目。クサメタラーが泣いて喜ぶ超絶メロディアス・パワーメタルの嵐がこれでもかというほど迫り来る。映画音楽的なファンタジー色を出そうとするあまり、世界観を作り込み過ぎて肝心の迫力やスピード感が失われてしまうバンドも多いが、彼らはスピードやメロディー、スケール感を主軸にして、幻想的な世界を見事に構築している。ピアノ(時にはチェンバロ)が常に楽曲をリードし、壮麗でゴシックな感触を演出。もちろんテクニカルな高速ギターや泣きのギターもお腹いっばいに楽しめる。マシンガンのような迫力の重低音ドラミングはお約束だし、氷のようなシンセとのコントラストは絶妙。オペラティックな女性Vo.をサボーティングに据えて、ひたすら激走する。もちろん変幻自在の転調リズムと陶酔してしまいそうな芸術的様式美の旋律群が流星のように降りしきる。クサメロという銀河宇宙を完璧なまでに創造している。光速を超えるスピードでスペースファンタジーの旅を体感できる究極のアトラクション的アルバムと言えるだろう。
2010.03.02 リリース
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DROPOUT YEAR『THE WAY WE PLAY』

twi2メリーランド州出身のメロコアバンドの4枚目で、自主制作盤となる。プロデューサーは、HIT THE LIGHTS、COBRA STARSHIP、HOUSTON CALLS などを手がけた ROB FREEMAN。MOTION CITY SOUNDTRACK を思わせるやわらかいエモ路線のメロディアスパンク。ハイトーンボーカルにコーラスが耽美に重なり、キラキラのギターが色を添える。ブレスなしで歌メロがひたすら続くあたりは、パステルカラーなサウンドをスピーディーに繰り広げていることもあり、心地よくキャッチできる。まあ、ありがちなメロコアでクセがなくオーガニックなだけに聴き飽きるかなあと思っていたが、なぜか繰り返し聴いても鮮度が落ちない。ストレートな構成に聞こえるが、実は細かくメロを変化させてさりげなく強弱のアクセントをつけている。大胆な転調やストップ&ゴーを見せつけるのではなく、あくまでもさりげなく。そんな気配り的な曲作りが、やわらかいイメージとなって全体をコーティングしている。口当たりがよく胃もたれしない自然食パンクの完成。
2009.09.05 リリース
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DELIRION『SILENT SYMPHONY』

twi22003年に結成されたスペイン出身の5人組シンフォニック・パワー・メタル・バンドのデビューアルバム。シンフォニックな要素を入れると、どうしてもファンタジックで壮大な世界観を演出することに専念するあまり、疾走感は二の次になってしまいがちだが、彼らはとにかく速い! 機関銃のように連打しまくるツーバス・ドラムに超絶キーボード&ギターが音速を超えるスピードでリスナーの体を突き抜ける。何という快感。地球の自転速度が一気に変わったようだ。特に女性キーボーディストのアナが奏でる旋律は、この世のものとは思えないほどきらびやかで壮麗。M-6のバラードではまさに魂がとろけそうな幻想空間を作り出している。また驚いたのは、この手の音楽ではあまり目立たないベースが、M-8などでしっかり自己主張していることだ。そう、まるでスラッシュメタルのような地響きのする重低音に極めて美しいオーケストレーションと美メロを融合させた迫力とインパクトなのだ。ドラマティックな転調やクリアーなハイトーンボイスなど、必須要素もクオリティーが高く耳の肥えた劇メロファンも十分満足できるはず。1st.にして伝説的名作の誕生!
2009.07.22 リリース 
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DELAIN 『APRIL RAIN』

twi2一聴して、おぉぉ、WITHIN TEMPTATION だ!と思ってしまった。それもそのはず、オランダのゴシック/シンフォニックバンド WITHIN TEMPTATION に1996年から2001年までキーボーディストとして在籍していたマタインが中心となって結成されたのが DELAIN なのだ。2000年に伝染性単核細胞症にかかりバンドを脱退したマタインが闘病中も1人で曲作りをしていたというから、音楽人としての魂を感じる。2005年、当時18歳のシンガー、シャルロットがボーカル加入し、翌年デビュー・アルバム『LUCIDITY』を発表すると人気が爆発した。そしてこの2nd.アルバムのリリースとなった。とにかく完璧なまでにゴシカルな世界を形成し、重々しいへヴィーサウンドに壮大なオーケストレーションとゴシック・ピアノを練りこんでいる。サウンドの完成度は高く、形式美と重厚で耽美な音のひとつひとつが、天空に解き放たれていくよう。このパックトラックに負けない天使とも魔界人とも判断できない存在感のあるボーカルはさすが。2nd.にして大御所の風格。
2009.03.25 リリース 
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DAWN OF DESTINY 『REBELLION IN HEAVEN』

twi22005年にドイツで結成された正統的シンフォニック&ゴシック・メタルバンドの2nd.。なんと言っても女性シンガー、ターニャの秀逸なボーカルに触れないわけにはいかないだろう。WITHIN TEMPTATION、NIGHTWISH、EDENBRIDGE といったバンドに共通するのが、いかにドラマティックで壮大で感情豊かな奥深いボーカル表現ができるかだと思う。ただ声量があるとか何オクターブも出るとかオペラティックに歌いあげられるといったテクニカルなことだけじゃなく、メタルバンドのディーヴァとして、歌の世界の物語性をどこまでパワフルにリードできるかだろう。声も楽器のひとつとして重厚でアグレッシヴなサウンドに参加しているのだ。とにかくターニャの歌唱力は素晴らしいということだ。で、バンドサウンドなのだが、この手のシンフォニック&ゴシック系にしては珍しく疾走しまくりのスピード感なのだ。しかもピアノのフィーチャーが効いている。シンフォニックなストリングス隊と見事に融合し、激しくアクロバティックなピアノワークを見せつけている。超絶ギターテクや高速ツーパスの重低音攻撃や、エピックで多彩なバリエーションの楽曲群も最高のカタルシスへと導いてくれる。次作でこれを本当に越えられるのかと心配になるくらいの完成度!
2009.01.21 リリース
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DARK MOOR『AUTUMNAL』

twi22001年に結成したスペインのシンフォニック・メタルバンドの7枚目。特に前作『TAROT』からシンフォニック色が強くなり、ベートーベンの『運命』『月光』や、モーツァルトの『トルコ行進曲』をメタル調にアレンジして神業的なプレイをしてくれた。今回はチャイコフスキーの『白鳥の湖』でいきなりスタートする。スケール感のある華やかでゴシック&シンフォニック世界は、さすがキャリアとテクニックのバンドの魅力。より壮大なメタルの深淵へと突き進んでいく。ドラマティックで神秘的な展開はファンタジックな要素をも取り込んで、底知れぬ悲しみとマグマのようなエネルギーへと変換される。哀愁と色鮮やかなアレンジのメロハー好きメタラーのツボを押さえまくった円熟味のあるアルバム。ひとつひとつのクオリティーが高すぎるせいか、エピック・アルバムとしての統一感やアルバム構成がやや希薄な印象を受けてしまう。ある意味ベスト盤的な水準に達した楽曲群だからこそ発生する副作用なのだろう。全曲リードトラックとして通用するアルバム。
2008.11.19 リリース
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DRAGONFORCE『ULTRA BEATDOWN』

twi2香港生まれのギタリスト、ハーマンを中心に1999年イギリスで結成されたメロスピ・メタルバンドの4枚目。DRAGONFORCE は特別なバンドだ。メタルシーンとひと言で言っても、その中身はあらゆるジャンルに細分化されている。そのすべてにおいて、彼らのようなバンドはまずいない。もはや人間ワザとは思えない超絶テクのツインギターや、恐ろしいほど早いドラミング。それに加えて、メタルならではの様式美を極限まで追求した磨きのかかった美メロ。幻想的なキーボードとの共鳴。ハイトーンでありながら透明感だけでなく重みのある質感を持ったボーカル。もうすべてにおいてあらゆるメタルバンドを凌駕している。それもぶっちぎりで他のバンドを引き離して独自の世界を爆走している。それはメタルのジャンルを超えて、ヴァラエティー番組やニュース番組のSEとしても使用され、本来メタルをメインに聞かない音楽ファンまでもがCDを手に取るという現象が起こり、チャート上位に位置する。もし前作以上のものが出来なければ、そして自分たちが納得できるレベルに到達しなければ、活動停止を覚悟していたとのちのインタビューでハーマンは語っている。その言葉の通り、今までの DRAGONFORCE 節を周到したうえで、さらなる進化形をみせつけている。もはやこれは未来の音楽だ。
2008.08.20 リリース
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DAUGHTRY『DAUGHTRY』

twi2ノースカロライナ州出身(1979年生まれ)のクリス・ドートリーが結成したバンドの1st.。2006年にアメリカン・アイドルのシーズン5に応募して4位になるというユニークな経歴をもつ。彼がパフォーマンスをした日、視聴者数は3200万人を記録。と言ってもこのアルバムのジャケはスキンヘッドに不精ヒゲという姿(笑)。プロデューサーは、MY CHEMICAL ROMANCE、THE ALL-AMERICAN REJECTS、hoobastank を手掛けたハワード・ベンソン。発売1週間で30万枚以上を売り、全米チャート1位をマーク。NICKELBACK みたいなミドルテンポでエッジの利いたロックサウンド。声もハスキーで NICKELBACK っぽいのでファンは重複しているかも。80年代から脈々と受け継がれてきた大人の渋い極太な音。クレッシェンドしていく力強さや、アグレッシヴに跳ねまわるキーボード、アコギの生っぽい音色、情感あふれるメロ、うねりのあるベース。ハスキーボイスだがクリアーなハイトーンで歌うナンバーもあり、楽曲もバラエティーに富んで、ハードエッジからエモいパワーバラードまでバランスよく配置されている。ずっと聴いていてもまったく飽きないデビューアルバム。
2006.11.21 リリース
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ギャラリー
  • courage my love『Becoming』『For Now』
  • courage my love『Becoming』『For Now』
  • AMBERIAN DAWN『Magic Forest』
  • VICTORIUS『DREAMCHASER』
  • STREAM OF PASSION『A WAR OF OUR OWN』
  • DERDIAN『HUMAN RESET』