Jack's Mannequin『People & Things』

twi2ピアノ・エモバンドの SOMETHING CORPORATE を率いたアンドリューのソロプロジェクト第3弾。GREEN DAY、MY CHEMICAL ROMANCE、paramore などを手掛けたロヴ・カヴァロがプロデュースしている。どこまでも澄み渡ったエバーグリーンで透明感のあるピアノエモ。余計な装飾を全部取り払い、しっとりシンプルな大人のアンビエントロックを展開している。何という心地よさ。多分10年後、20年後聴いてもこの新鮮なクリアー感はすこしもくすむことはないだろう。時代を超えて愛される音楽の基本形がここにある。流行の装飾をしないからこそできるピュアなサウンド。彼にはそんな音楽に支えられた不変のメッセージが凛としてある。悲しみと痛みをしっかりと受け止めて、そのうえで生きる力強さを歌い続ける真摯な声が、心に魂にやさしくきらめきながら届く。
2011.10.26 リリース
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just surrender『PHOENIX』

twi22003年にニューヨークで結成されたメロコアバンドの3枚目。ギターとベースが同時に脱退してしまう危機におちいるが、just surrender らしさは損なわれていない。いや、それどころか、数段レベルアップして磨きがかかっている。エモからハードコアまで丹念に練り込まれた楽曲が捨て曲なしで並ぶ。ゴツゴツした重心の低いハードパンクにさわやかなサビメロと美しいツインボーカルが融合。何も考えなくてもすっと心の奥にダイレクトにやさしく入ってくるメロディーセンスは絶品だ。ストップ&ゴーもツボを心得て鮮やか。サビで一気に爆発させておいて急にせつないメロに転調するなど、コントラストが絶妙。時折入るスクリーミングとクリアボイスのからみも良い配分。楽曲のどこをどう切っても印象的でキャッチーなメロが詰まっていてシャープな疾走感も十分。美メロの上に美メロを重ねるような構成の仕方なのに、まったくしつこくないし、むしろさわやかな風が吹き抜ける感じ。サウンドが青臭くなく、ややレトロモダンの香りもする。そういう味付けもバンドの成熟なのだろう。
2010.07.13 リリース
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Jack's Mannequin『The Glass Passenger』

twi2SOMETHING CORPORATE の中心人物だったアンドリュー・マクマホンのソロプロジェクト。急性リンパ性白血病を乗り越えてスタートしたこのプロジェクトだが、これが2作目になる。来日ツアーはチケットが即完売する人気ぶり。ピアノロックというジャンルは、ある意味J-POPと同じでとてつもなく広い間口で多くの人にとってフックになる。特にこの2作目は、ジャンルレスな自由作品集としての魅力があふれている。パーカッシヴでウエットに富んだチルアウトな癒しサウンドが波のように押し寄せては去っていく。AORからエモ、ポップロック、バラードとさまざまな波が繰り返される。癒しのピアノというより、情感をパチンパチンとはじきながらリスナーの心に向かって飛ばしてくる鋭い勢いがある。音のひとつひとつがエネルギッシュにダンスしている。音色はドライで素朴なシンプルサウンドかと思ったら大間違い。エフェクターを大胆にスパイスしたデジロック色もただよわせる。それがアンドリューのむきだしの激しいエネルギーと相乗して、美しく大きなうねりをつくる。スペーシーでスケール感のあるピアノ幻想世界に拍手!
2008.10.01 リリース
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JONEZETTA『CRUEL TO BE YOUNG』

twi2ミシシッピー州の田舎町で、高校生の仲間で結成されたダンサブルなエモコアバンド。本気でプロになるつもりはなかったようだが、ライヴを重ねてでも音源をリリースする頃には、レーベル各社の争奪戦になり、有名なインディーズレーベル「Tooth & Nail Records」とディールを結んだ。2006年にデビュー・アルバムをリリースし、本作が2nd.になる。80年代AOR的なやさしく洗練された都会的なエモコアが展開される。ミッドテンポのポップテイストがベースになっているが、コンテンポラリーな要素やウエットに富んだミクスチャー系サウンド、時にはアコースティックやピアノエモ(あるいは激しいピアノロック)な空気感も見せる。引き出しは無限。ただしゆるい印象はまったくなく、ドラミングひとつとっても丸い音ではなく、鋭角的に破裂した音色で、ベースがグングンうなっている。パワフルで音数も多く厚みを体感できるサウンドだ。しかもどの曲も多彩でいろんな顔を持っているのも彼らの強み。
2008.09.15 リリース
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JET LAG GEMINI『Fire The Cannons』

twi2母親がロシアの外交官の Misha(Vo.)。ルーマニア出身の Vlad(G.)と Matt(B.)兄弟。唯一のアメリカ人 Dan(Dr.)が集まりアメリカ・ニュージャージー州にて結成さけたメロコアバンド。すでに Warped Tour への参加を果たし、Hellogoodbye、Punchline らとも共演している。本作が1st.アルバム(日本先行発売)となる。 ボーナストラックには2006年にリリースしたEP「business」が全曲収録されている。なんとメンバーの平均年齢は17歳という若さだが、音は渋くオーセンティックなパンクサウンドを再現。LIVING END や BAD RELIGION あたりが好きなファンが反応しそうな懐かしいフレーズが推理小説の伏線のように整然と並べられている。そのマトリックス的サウンド情景は、実に爽快で普遍。しかしノスタルジーを売り物にしているのでなく、未来に向かうパンクキッズがポケットにそっとセピア色の青春を隠し持っているイメージとしてメイクアップされている。もしかしたらこれが一番新しくて色褪せないピュアロックなのかもしれない。
2007.09.21 リリース
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JET LAG GEMINI『BUSINESS』

twi2これが1st.とは思えないほどのラウドな音の広がりと、なつかしいパンク・ロックの音色で勝負している。いや、パンク・ロックというより、ロック・パンクといった印象。ミルクコーヒーとかライスカレーのように単語の順序を替えたくなるなつかしさ。ギターのザクザクと刻んでくる男臭さと、やんちゃなボーカルは、ますます20世紀の景色の中に溶け込みそうなノスタルジー。だが、その景色に吹く風は新鮮だったりする。まるでベテランのような腰の強いメロを丁寧に積み重ねて、耳の肥えたパンクファンをもうならせるようなクオリティー。高校を卒業したばかりの新人バンドとは思えない貫禄!
2006.06.06 リリース
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Jack's Mannequin『Everything In Transit』

twi24年間続けてきたバンド SOMETHING CORPORATE が燃え尽き現象おちいっていた時期にソロプロジェクトを始めたアンドリュー・マクマホン。しかもロハスなテンポでじっくりことこと煮込んだアルバム。彼のホンネと等身大の生き様がしっかり溶け込んでいる。哀しさや空しさなどネガティブな精神まで包み隠さずに投下されている。ここ数年注目のピアノ・パンクという追い風もあるだろうが、Jack's Mannequin 人気は強力。サントラを聴いているようなドラマティックな展開と美しいメロと風のようにサラサラ流れるのにアグレッシヴなリズム。語りかけるようなボーカルにも説得力がある。ドラムは Motley Crue の Tommy Lee。ちなみにアンドリューは、2005年5月に急性リンパ性白血病をわずらい長期の入院生活に。その後のツアーはキャンセル。2006年3月に無事退院。ソロ活動を再開している。
2006.04.12 リリース
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june『IF YOU SPEAK ANY FASTER』

twi2シカゴ出身の4人組メロコア・バンド。倍音の強いパワフルなボーカルにコーラス(というよりツインボーカルと化している)が特徴。ボーカルの重ね方が、計算されつくされた絶妙なタイミングで、実に美しい。西海岸系キラキラサウンドだが、べースがしっかり基軸となって、常に良い存在感を示している。アコギ+キーボード+パーカッションをフィーチャーしたナンバーでは、70年代後半のオーセンティックなポップロックを披露。引き出しの多いところも心憎い。万華鏡を見ながらいつしか眠ってしまい、夢の中で自分が万華鏡の中にいる……といった場面設定がピッタリな独特の美しい世界。その美しさは普遍で、だけれもが目にすることができるが、手に触れることができない。そんな不思議な神秘的重みのある美メロパンク。
2005.08.23 リリース
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JUNIOR VARSITY『WIDE EYED』

twi2同じ名前のダンスユニットが存在するが、もちろん別人。こちらはメロコアのパンク。強烈にノスタルジックでストレートなメロが、素直に心にさくさくっと入り込んでくる。しかもその旋律が、場面ごとに目まぐるしく変カする。繊細な変化のすべてはメランコリックでビビッドなカラーを放つ。コーラスも美しいし、フックとなるカウンターメロディーが多彩で、なおかつ幾重にも重なって厚みを帯びている。単に音の密度が濃くなっているだけでなく、泣かせどころを熟知したメロの展開がエンドレスでつづく。どこまで掘っても底が見えない哀愁空間が無限に広がる。よくここれだけ多彩な構成ができるものだ。まったく飽きないマイナー・トーンのボーカルも、いぶし銀の味わいを漂わす。ついでにジャケまでリリカル!
2005.08.05 リリース
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just surrender『If These Streets Could Talk』

Just_Surrender同名バンドがいたことからバンド名を A SECOND CHANCE から just surrender に変更。AUTOPILOT OFF の Chris に見出されて彼のレーベルからのデビューアルバム。プロデューサーは、MY CHEMICAL ROMANCE を手がけた John Naclerio。新人でありながらメリハリの効いた多彩な表情の曲がずらりと並ぶ。美しく誘惑的なメロ、時折スクリームするボーカル。多くのバンドの良いとこ取りをしたようなメロコアサウンド。新人とは思えないほど年季の入った音色は、青春パンクに傾きそうなところをメロウな空気で引き戻している。ビシッと引き締まった音に、アンプラグドなメランコリック・バラードと、本当に幅広いスケールで迫ってくる。
2005.07.07 リリース
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JIMMY EAT WORLD『FUTURES』

jimmy2メジャー4枚目、前作2002年の来日記念盤から2年以上も経ってるアルバム。2004年には FUJI ROCK で来日。96年にメジャーデビューして以来マイペースで活動をつづけ、ライヴなどを通じて多くのファンを獲得。さらに彼らに影響を受けたバンドは多数。今作は、バラエティーに富んだ楽曲群で、そのひとつひとつがセンスのよい魅力的なメロとなってキラキラと輝きながら胸の奥にストンと落ちてくる。リードトラックの『Pain』のせつなさにも象徴されるように、エモーショナルでドラマティックな光がリスナーをやさくし包む。決してスピードやパワーで押すのではない、メロウなパンク。これぞJEW流パンク哲学!
2004.10.13 リリース
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ギャラリー
  • courage my love『Becoming』『For Now』
  • courage my love『Becoming』『For Now』
  • AMBERIAN DAWN『Magic Forest』
  • VICTORIUS『DREAMCHASER』
  • STREAM OF PASSION『A WAR OF OUR OWN』
  • DERDIAN『HUMAN RESET』