ORIANTHI『BELIEVE』

twi2オーストラリア出身。6歳の頃からギターを弾き、18歳でサンタナと共演を果たし、22歳でデビューアルバム『VIOLET JOURNEY』をリリースしている。彼女の名前が一気にメジャーシーンを駆け抜けたのは、故 MICHAEL JACKSON の"This Is It"ツアーのバンドメンバーになったことだろう(残念ながら、マイケルが他界したためツアーは実現しなかった)。この2nd.アルバムは、サンタナばりの渋い泣きのギターにしびれるだけでなく、パンキッシュで熱きロック魂のこもった見事なボーカルも堪能できる。愁いのあるエネルギーに満ちたリリカルな声は、まさに天が二物を与えてしまったのかも。オールドロックからカラフルなポップ、メロコアパンク、そしてパラードとサウンドの間口も広い。もちろんメロディーセンスや楽曲構成は申し分ない。これでもかというくらいにギターテクを見せつけるのではなく、本当にギターが歌っているようなプレイをする。そう、歌ったり語ったりダンスしたり、あらゆる感情をギターで表現している。カウンターメロディーで鳴っているリードギターなどは古風なロック色が強いのに、まったく古臭く感じない。ほどよいノスタルジーとガールズパンクバンドのようなフレッシュな歌声とが、一番魅力的なクロスポイントで化学反応を起こしているよう。聴けば聴くほどロックの深遠へとハマっていく。彼女自身が音楽の歴史だ。ちなみにM-11は、マイケルへの追悼歌。
2010.01.27 リリース
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THE OFFSPRING『Rise And Fall,Rage And Grace』

twi2カリフォルニア州オレンジカウンティで1984年に結成されたメロコアバンドの8枚目。低域がよく伸びた骨太のサウンドが炸裂。BAD RELIGION + NO USE FOR A NAME + MxPx といったスピード感のあるせつなくてハードエッジな男臭い曲づくりだ。小刻みに繰り返されるストップ&ゴーのうまさと、転調の連続で、シンプルでストレートなメロディーをより印象的でドラマティックなものにしている。しかもオーセンティックなパンクの原点を前面に出している。METALLICA、BON JOVI、SIMPLE PLAN などの仕事で知られるボブ・ロックをプロデューサーに迎え入れることで、この抒情的でスケール感のあるノスタルジックなアレンジが成功しているのだろう。正義や自由や、悪、エゴ、不条理、権力、運命といった摂理の中で人は生きている。そこで生まれるあらゆる感情をこのアルバムにスリリングに詰めこんでいる。アコギではじまるチルアウトなバラード・ポップもリリカルで、愁いを含む。激しさと優しさが同居し、光と影を飲みこんだ珠玉のアルバム。
2008.06.11 リリース
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OLIVIA THE BAND『Where We Come From In Never Snows』

twi2パンクシーンにおいては珍しいハワイ出身のバンド。西海岸系のキラキラでピュアなメロコアを想像しがちだが、もっとハードエッジでワイルドなスピードチューンで攻めてくる。ジャケからしてゆるいポップパンクのイメージだが、これにだまされてはいけない。リリックはネガティブで病んだ精神世界。限りなく後ろ向きで絶望的。なんだこの失意に満ちたエネルギーは……。重低音のしっかりした切り刻んでくるノイジーなギターと男くさいコーラスは、ゴツゴツしたワイルドな感覚。さらにツボをズボスボ突いてくるベースは、深い根となって楽曲を底辺から支える。メリハリの効いたメロも申し分ない。RISE AGAINST をすこしマイルドにして野性味を残したボーカルが魅力。ねばりのあるミドルチューンもパワフルで聴きごたえあり。時折ウェットな響かせ方が入るところが憎い。ドラミングもアグレッシヴだが、もっと奥行きとラウド感があれば完璧だったのにおしい。とは言うものの、ラストのアコースティック・バラードまで捨て曲なしで十分ヘビローしまくれる。
2007.08.03 リリース
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OVER IT『STEP OUTSIDE YOURSELF』

REHASHERついに OVER IT がメジャーデビュー。インディーズ時代のサウンドに比べるとメロディーセンスは数段レベルアップしている。メロウでエモーショナルな上に、深みのあるラウドなハードコア・サウンド。文句のつけようのない極上のパンク。こんなのを待っていたと耳の肥えたパンクファンが泣いて喜びそうな楽曲群。抜き拍とリフを活かしたキャッチーなサウンドは印象に残りやすく、ドライブ感をキープしたまま細かく転調するあたりは小技が効いて心憎い。力だけで押すのではなく、せつないミディアム・ナンバーでもしっかり聴かせる。ドラミングを変則的にしたり、ストリングやピアノをうまく前に出したり、ハンドクラップを使ったり、とにかく飽きることがない。ついでにジャケも最高にシュールでクール。
2006.08.28 リリース
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ONE FINE DAY『DAMN RIGHT』

Zeno2004年にデビューしたドイツのエモコアバンド。MY CHEMICAL ROMANCE や SIMPLE PLAN、FALL OUT BOYS、ZEBRAHEAD らとツアーをまわってきた。 この2nd. 『DAMN RIGHT』が日本デビューになる。チャラチャラしたメロコアではなく、ドイツ特有の腰のある骨太サウンド+スピードチューンから、とことんエモい抒情たっぷりの楽曲がギュッと詰まっている。ゴリゴリのベースに、破壊的なドラミング、ジャリジャリのギター、美コーラスと文句のつけようがない。シンディー・ローパーのカバー「She Bop」(1984年)が秀逸! さらにボーナストラックではビークルのカバー「TONIGHT, TONIGHT, TONIGHT」までプレイしている。そんな間口の広さに加えて、ウエットな音作りにもかかわらず、古き良きパンクをエモで味付けしたような玄人受けするノスタルジーの風が吹く。さらにツアー仲間のデンマークのバンド PINBOYS の女性ボーカル Anne Kalstrup も参加して詞世界を押し広げている。絶望、頽廃、自虐……それでもポジティヴなエネルギーを放出しながら突き進む。生命力が火花を散らしている。
2007.06.20 リリース
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ギャラリー
  • courage my love『Becoming』『For Now』
  • courage my love『Becoming』『For Now』
  • AMBERIAN DAWN『Magic Forest』
  • VICTORIUS『DREAMCHASER』
  • STREAM OF PASSION『A WAR OF OUR OWN』
  • DERDIAN『HUMAN RESET』