2006年スペイン・マドリッドで結成されたシンフォニック・メタルバンドの2nd.。90年代から00年代あたりの少し懐かしい香りがするシンフォニックサウンド。サントラ的な交響曲要素は確かにあるのだが、オーケストレーションとメタルが共鳴しあって壮大な空間を作り上げるところまでは至っていない。音のひとつひとつはとても洗練されているし、転調の仕方や弦やピアノの入り方、スピード感や旋律などは申し分ない。ドラミングの音圧も十分だし、ギターワークも満足のいく快感だ。民族音楽のテイストを挿入する粋な計らいがあったり、曲全体に豪華さや迫力もある。バラードもリリカルでうまい。でも何か違和感がある。そうだボーカルだ。パワフルでハイトーンなのに、いまひとつ突き抜ける鋭さに欠ける。ややルーズなボーカリングなので、スタッカート気味に歌った方が楽曲に合うかも。それにドラムが前に出過ぎて他の音をマスクしてしまっているのも残念な点(ミックスダウンの技術的レベルの話だろう)。せっかくのオーケストレーションが活かされていないアレンジにも問題ありか。プロデューサーが変われば大化けするバンドかも。
2012.07.11
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