QANTICE『The Phantonauts』

Qantice
フランスで2000年代に結成されたシンフォニック・プログレ・パワーメタルバンドの2nd.。物語性が強いエピックアルバムゆえに起伏が極端で演出効果満点。クサメロ全開のメロスピをストリングス隊をしたがえてプレイしたかと思うと、しっとりシアトリカルな雰囲気で始まり80年代HRにシンフォニックとプログレをブレンドさせた変則技工へとジャンプする。さらにはアイルランド民謡を披露する。時には歌というより芝居に近い空気感で演奏するのだが、それが自然と惹き込まれてしまう。とにかくとんでもないトリップぶり。しかもどのナンバーも叙情的なメロディーを惜しみなく紡ぎだし涙腺を刺激する。小さな芝居小屋から巨大シアターまで、スケール感もめまぐるしく変わる。どれだけマニアックなんだとあきれるほど凝りに凝っているのに美旋律とセンスのいいアレンジ・構成で、気がつけばクセになっている。おそらくこんなバンドは世界唯一だろう。
2014.03.12

QUIETDRIVE『QUIETDRIVE』

twi22003年にアメリカ・ミネアポリスで結成されたメロコアバンドの3rd.。ついに熟成された大人の渋いサウンドの領域に到達した。エネルギッシュなAORエモや、王道の懐かしいアメリカンロックなども織り交ぜ、エッジの立った華やかなパワーロックを惜しみなく披露している。ライヴ映えする華やかさと、耳にすっとなじむキャッチーなサウンドは、ジャンルも時代も飛び越えて雲の隙間から放たれる神聖な光の筋のように一直線に心を貫く。バランスのとれたレトロモダンなサウンド。ずっと昔から知っているような安心するメロディー。ピアノやバイオリン、アコギをフィーチャーしながら、カントリー、オールドロック、ブルースなどをスパイスにして、流行に左右されない音の森を形成している。何という快感だろう。正直、これが QUIETDRIVE とは思えないほどの変わりようだ。この誰もが納得する鮮やかな裏切りは、まさにバンドとしての劇的な成熟のおかげだと言える。中堅どころか、大御所バンドの風格すら感じる。エンタメかつドラマティックな普遍ロックアルバムの誕生と絶賛したい。 
2010.12.08 リリース
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QUIETDRIVE『close your eyes』

twi22006年にデビューしたネアポリス出身のメロコアバンドの日本限定EP。美旋律をたっぷり聴かせるメロディアスな軽快ナンバー。シンセを隠し味で入れ、FALL OUT BOY 的なダンサブルで跳ね系サウンドは、QUIETDRIVE の新しい一面かもしれない(2008年リリースの2nd.フルでも少し傾向はあったが)。もちろんライヴで盛り上がれるシンガロングな曲に徹している。ただ軽やかに風のように駆け抜けていくだけじゃなく、サビでうまくスピードを落とし、カウンターメロディーの透明感のあるギターを際立たせてみたりとメリハリのある曲構成や溜めのあるポーカリングも心地いい。ただ、前作までのアグレッシヴでやんちゃな暴れっぷりは、ほとんどない。すこし小さく収まってしまった印象を受ける点はもったいない。
2009.10.07 リリース
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QUIETDRIVE『DELIVERANCE』

twi2アメリカ・ミネアポリス出身のメロコアバンドの2nd.。2006年にメジャー・デビューしヒットを飛ばしているが、メジャーとの契約に嫌気がさしたという理由でインディーズにもどってこのアルバムをドロップしている。ラウドで迫力のある激しいパンクナンバーに加え、フィンランドあたりの哀愁漂うエモさ全開のメロや、FALL OUT BOY さながらの華やかなナンバーまで実に多彩な振り幅を見せている。シンフォニックな音をとりいれたり、ウエットな音色に骨太のギターをからませたり、キラキラの透明感あふれるエアリーな表現をしてみたりと、深い階層で自由に遊んでいる。哀メロやFOB調の曲以外にも、アコギにハンドクラップをフィーチャーした軽快でにぎやかなミッドデンポのM-5、突然転調してストリングスが入ってくるM-6、ピアノを使ったダンサブルなM-9、フラメンコ・テイストのM-12など、バラエティーに富みつつ捨て曲が全くない。これこそメジャーを超えたアルバム
2008.11.05 リリース
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QUIETDRIVE『WHEN ALL THAT'S LEFT IS YOU』

Zenoアメリカ・ミネアポリス出身の5人組メロコア・バンド。コーラスの美しいエモ寄りのメロディアス・パンク。砕けたガラスの破片が光に乱反射しているような鮮烈で印象的な美サウンド。特にカウンターメロディーのキラキラした美しさと、倍音の強い熱唱ボーカルが心地いい。曲調も一本調子ではなく起伏に富んで、しっかり引き締まった楽曲として作りこまれている。ザクザク~ジャリジャリと刻み込んでくるギターの音色も刺激的で心をうまくとらえている。アンプラグドなナンバーが、壮大なシンフォニック・パワーバラードに変容していくところなど完璧! さらに、CYNDI LAUPER の名曲「Time After Time」のカバーまで収録。これがデビューアルバムとは、何という質の高さ……末恐ろしい。
2006.05.30 リリース
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ギャラリー
  • courage my love『Becoming』『For Now』
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