UNLIMITS『NeON』

twi22002年に結成されたエモコアバンドの3rd.。哀愁歌謡メロディーと文学的センス漂う日本語詞は健在。華やかでPOPなナンバーやハードコア、インスト曲など針を大きく振りながら、それでもメランコリックな涙もののパンクサウンドをゴリゴリにプレイしている。THE BACK HORN のvo.山田氏とツインボーカルのM-3は、ハマりすぎなほどジャストミートなコラボ曲だ。UNLIMITS の魅力は、もの悲しいのだが、ポジティヴにどんどん前進していく強さ・激しさが、必ず悲哀や孤独を越えて存在している点。胸がしめつけられたり涙が溢れそうになるが、心地よさとピュアな気持ちと強い生命力が根底にある。そして何よりエンドレスでヘビロテしたくなる中毒性。24時間ずっと UNLIMITS の音楽をシャワーのように浴びていたいと思える。それを UNLIMITS ならではの音楽性と言うのなら、このアルバムは 間違いなくバンドのその真骨頂を無限ループで楽しめる。
2012.08.29
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USELESS ID『SYMPTOMS』

twi21994年に結成されたイスラエル出身のメロコアバンドの7枚目。No Use For A Name や BAD RELIGION のように長く続いているバンドが、変わらず一貫したテイストで音づくりするには、確固たるバンドポリシーと持久力が必要だ。USELESS ID もどんなに時代は変わっても決して流されずに自分たちの音楽の世界観を維持し続けている。動じず深く根を下ろしていくことで、音楽はより深みを増す。ギラギラとした野性的なサウンドは、悲しみを内包したまま降りしきる雨の中を駆け抜けるよう。歯を食いしばり目を見開いて疾走する姿は悲壮感すら漂う。それでもこの痛みは生きている証だと言わんばかりに息を切らしながら懸命に走る。そんな音楽を変わらず生み出しつづけるなんて、本当に格好いい。この痛みよ永遠に!
2012.02.13
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UNSUN『THE END OF LIFE』

twi2女性シンガー AYA をフィーチュアした、ポーランド出身のゴシック・モダンヘヴィネス・バンドのデビューアルバム。暗黒デスメタルやブラックメタル、プログレを主戦場としてきたアンダーワールド的なメンバーで構成されているのだが、そこからは想像できないほど美しく壮大なサウンドが繰り広げられる。まずボーカルが天使のように透明かつ力強い美声。倍音が強く妖艶な要素も大きな特徴だ。サウンドは EVANESCENCE や WITHIN TEMPTATION に通じるゴシックでモダンヘヴィネスな王道路線で、もしかしたらポップロックしか聴かない洋楽ファンにも受け入れられるのではと思えるほど。それでいて筋金入りのメタルテイストなギターワークや重々しい低音域の迫力は、かなりの手ごたえ。地響きのようなローエンドに神聖なるピアノの旋律がからみあって、美しく品格のある音楽観をつくりだしている。時空を超越した様式美の世界へと追いつめられるようにトリップする。そう、誰かに追われるようなスリリングでサスペンスの匂いがする。安全な美ではなく、危険で緊迫した音壁が猛烈な勢いで押し寄せてくる。恍惚とした魂ですべてを受け入れるしかない。
2008.11.19 リリース
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USELESS ID『THE LOST BROKEN BONES』

twi21990年前半に結成されたイスラエル出身の4人組メロコアバンドの6枚目。前作より、骨太でラウドなサウンドになり、どしっと両足で踏ん張った重みのある音を中軸に据えている。とにかくバスドラやベースが快感で、よく耳に入ってくる。青臭くがなくなって、NO USE FOR A NAME を思わせるクラシカルでシンプルなスピード&メロディックな世界を深く突き進んでいる。ボーカルはシャウトしまくりで、時にはスクリーミングもするエネルギッシュな衝撃だ。特にM-8、M-12 などでチラッと見せるのは、J-POP 的キャッチーなフレージングをせつなくプレイしていること。他の曲にもところどころそんな香りがプンプン。転調は、ほどよくさりげなく隠し味として使われている。それより全体に漂うパワフルなエモワールドだ。力強さと、もの哀しさを両方身につけた点が大きな進化だろう。歌詞世界は、巨大な権力と不幸な歴史とやるせない思いが、あきらめとも悟りとも言えない負の感情になってうねっている。なんというネガティヴな波動だ。それなのに全力で走っている。未来に向かって走る原動力はどこからくるのか。美しく牙をむくことで、いつでも彼らはスイッチが入るのだ。
2008.07.23 リリース
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User of a common name『Freeway』

Just_Surrender2005年6月に日本でデビューアルバムがリリースされる3か月ほど前に「DO YOU」を聴いて、これは絶対に大ヒットすると確信した。普段洋楽を聴かないリスナーまでも巻き込むだろうと予想したが、結果は1万枚程度のセールスで終わった。そしてこうやって2nd.アルバムが出てじっくり聴いていると、なぜ大ブームにならないのか不思議で仕方ない。2000年にスウェーデンで結成されて以来、ヨーロッパ、アメリカ、アジアで精力的に活動してきた実力者。今回はキャッチーなポップパンクなチューンだけでなく、メランコリックなバラードやサイケな懐かしいサウンドなど、楽曲の種類が豊富。ブレスがほとんどなかったり、リズムが裏打ちだったり、小わざも効いたメロディアスなスウェディッシュ・ロックを展開している。産業ロックではない実力派バンドであることを主張するように、耳の肥えたパンクキッズの心をがっしりつかんでいる。58分に及ぶ全13曲の大作は、ヘビローで聴き倒してもまったく飽きない。
2006.03.29 リリース
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USELESS ID『Redemption』

GuardiansWarped Tour Japan 2004 で来日し、反ブッシュのコンピ盤「Rock Against Bush Vol.2」にも参加したUSELESS ID。イスラエル出身のPunkバンドが今まで日本で紹介されることはほとんどなかったが、今や認知度も高くなった。戦争が起こればすぐ徴兵にかかり、バンドは解散という国にあって、10年間もバンドを維持しているのは奇跡かも。王道ストレートなパンクをメロディアスかつハードエッジに展開。もの悲しいメロやビートルズ級の古典的なロックサウンドが隠し味に。ウソくさい青空の果てで、声がかれるまで真実の色を問いつづけるような自虐的な情感をパンクというペンキで世界の冷たくヒビ割れた壁を毎日塗っているよう。リードトラックの「Turn Up The Stereo」は秀逸。
2004.12.15 リリース 
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THE USED『IN LOVE AND DEATH』

Zeno衝撃の1st.から約1年弱。THE USED の悲痛な叫びがもどってきた。ノドから血が吹き出るほどのスクリーモ。センスのよいリフ。タイトで歯切れのよいリズムと、スリリングなメロ。特にドラムの音がドライで生々しい。絶対に音が流れないしブレない。カチッとサウンドがサイズぴったりの穴に次々とはまっていく感じ。彼らがロックに対して極端に閉鎖されたアメリカ・ユタ州出身とは今でも信じられないほど過激で破壊的だ。オレンジカウンティー出身のまちがいじゃないかと疑いたくなる(笑)。まあ出身なんてどこでもいい。良い音なら南極でもOK。ミドルテンポのせつないナンバーまで、フルリピートのヘビローに絶えうる極上のパンク。
2004.10.06 リリース 
 
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ギャラリー
  • courage my love『Becoming』『For Now』
  • courage my love『Becoming』『For Now』
  • AMBERIAN DAWN『Magic Forest』
  • VICTORIUS『DREAMCHASER』
  • STREAM OF PASSION『A WAR OF OUR OWN』
  • DERDIAN『HUMAN RESET』