YOUNG GUNS『BONES』

twi22003年にイギリスで結成されたメロコアバンドの2nd.。前作とは比べ物にならないこどメロディアスでキャッチーな初期衝動的パンクアルバム。パーカッシヴで華のあるにぎやかなサウンドは、垢抜けたというか、むしろ別バンドかと思うほど変容している。初期衝動と書いてしまったが、張りつめた空気感とドラマティックな演出は、年季の入ったバンドキャリアから生み出されたストーリーアルバムに匹敵する。これが2枚目だが、実際彼らは9年ものキャリアがある。ザクザクのギターにキャッチーでスピード感あふれるナンバーに加えて、熟成されたメロウな音を奏でているのだから、聴いていて当然テンションは一気に上昇する。ベースラインやバスドラのずっしり濃厚な音圧に、突き刺さるようなハイストーンのギターがこれでもかというくらい閃光を放っている。抒情的なエモ曲まで、一音も逃さず美味しく飲み干せる一枚!
2012.02.07
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YELLOWCARD『SOUTHERN AIR』

twi21997年、フロリダ州で結成されたメロコアバンドの8枚目。メジャー・デビューとなった2003年の「Ocean Avenue」が世界的ヒットになり、ずっと人気をキープしてきたが、2008年に無期限活動休を発表した。ファンのもとに帰ってきたのが2010年の電撃復活。そして嬉しいことに今作では再び「Ocean Avenue」時代のサウンドを楽しめる。いや「Ocean Avenue」は着実に成熟して芳醇な香りを放っている。ロマチックな演出と美学すら感じる美しい旋律は健在。健在といえば YELLOWCARD の象徴でもあるヴァイオリンのカウンターメロディーが、センチメンタルにエモメロ全開でプレイされている。ベースラインも際立っているし、アコースティックナンバーは涙もの。彼らの円熟度は、ただ大人っぽいサウンドになったとか美しさに磨きがかかったというだけではない。サントラとしても通用するほどドラマチックでスケール感のある見事な演出が功を奏している点だ。壮麗で透明感のあるサウンドイメージがどこまでも広がっていき、ひとつひとつのフレーズに五感が震えるほど反応するのだ。もはや YELLOWCARD 健在というより、どこまで進化しつづけるのかと言った方がいい。
2012.08.22
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YELLOWCARD『When You're Through Thinking, Say Yes』

twi21997年、フロリダ州で結成されたメロコアバンドの7枚目。YELLOWCARD と言えば何と言っても全世界で200万枚を売り上げた2003年のメジャーデビューアルバム「Ocean Avenue」のイメージが強烈にある。その後、模索を続け2008年に無期限活動休を発表するという悲しいニュースもあったが、復帰後初となる今作では、あの「Ocean Avenue」の再来と思えるサウンドが復活。タイトで上質のメロディアスパンク。カウンターメロディーでヴァイオリンがアグレッシヴにプレイされて、パワフルでラウドなのに繊細な部分を正確に残した音質は涙もの。時代や流行に媚びない YELLOWCARD 節とも言えるオリジナルベーシックスタイル。飾りすぎすシンプルになりすぎない絶妙なバランス感覚には脱帽する。ストップ&ゴーのメリハリの効いた爽快で、印象に残りやすいシンガロング系メロディーにうっとりする。リリカルなバラードも申し分ない。みごとな復活アルバム。
2011.03.22 リリース
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YOU ME AT SIX『HOLD ME DOWN』

twi22008年にデビューしたイギリスのサリー州出身の5人組スクリーモバンドの2nd.。THE RED JUMPSUIT APPARATUS や SAOSIN などの張りつめた氷のようなハードナンバーから QUIETDRIVE、LOSTPROPHETS のようなメロディアスでキャッチーな曲まで間口はかなり広い。バスドラやベースがドドドドと大地にくいを深く打ち込んだかと思うと、幻想的ともいえるギターサウンドが積み上がっていく。近未来的なメタリックカラーのシャープな楽曲は、必要以上に装飾せずに、音の素材の美しさだけで勝負している。本当はドラムは複雑なリズムでテクニックに走ってもおかしくないし、ギターも俺が俺がと自己主張したって不思議ではない。だが、むしろ飾りをどんどん取り払って裸になることで力強さを伝えようとしているようだ。メリハリも効いて、すべてが洗練されて合理的に処理されているのに、男くさいハードボイルドな野生味をきちんと残しているのはさすが。SFチックなマトリックスの中でタイトなスクリーモを展開しているのに、常に汗だくでシンガロングできる体温の伝わる人間くささがある。予測不能な快感をともなった新しいスクリーモの風だ。
2010.01.25 リリース
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THE YEARS GONE BY『FOREVER COMES TOO SOON』

twi2ニュージャージー州出身の4人組メロコアバンドの2nd.。極上の美しいメロディック・スピードパンクを基軸にしてストップ&ゴーのメリハリをつけ、ゴリっと安定感のある低域を表現している。音の歯切れがよく、スタッカート気味にタッタッタッと軽快に曲が展開していく。ひとつのフレーズをしつこくリフするようなことはせず、どんどん新しいメロディーが飛び出してくる快感はさすが。音数も多く、アグレッシヴなドラミングを中心にラウドな音空間を作り出す。パワフルなハイトーンボーカルだが、時折ファルセットを使いデリケートな情感も表現している。ミッドデンポのナンバーではメロにリリックをつめ込まず、余裕を持ってためをつくりながらコトバを自由に泳がせている。ピアノをフィーチャーしたエモいバラードという引き出しまであって、バンドの深度はなかなかのもの。
2008.09.02 リリース
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YOUNG AND DIVINE『YOUNG AND DIVINE』

twi2ニューヨーク・アップステイト出身の4人組メロコア・バンド。マイスペにデモを発表したのをきっかけにメジャー各社からオファーを受けてデビューが決まった。素直でクセのないメロだが、若いバンドのデビューアルバムにありがちな力と勢いだけで押してくるようなことはない。しっかりベースが効いていて、転調などでメリハリをタイミングよくつけて、ウェットなキーボードや、シンセにパーカッションなどが頻繁に顔を出す。キャッチーでメロディアスなアッパー・ナンバーから、クラシック・パンクを思わせる重みのあるノイジーなナンバー、ダンサブルなエレクトリック・パンク、メロウなミッドテンポのエモ曲、ピアノエモなど、多彩なサウンド展開には脱帽。バンド名とジャケはダサいが、ノスタルジックなパンクをデジタル・チューンナップするというかなり難易度が高いことをしている。そのすべてにセンスの良さが光る。これ以上、ウェットになるとクドイという手前のラインでしっかり止めているところがGOOD!
2008.06.13 リリース
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YELLOWCARD『Paper Walls』

Just_Surrender1997年にフロリダ州で結成されたメロコアバンドの4th.。2003年に全世界で200万枚をセールスした「Ocean Avenue」のテイストに近いタイトでハードエッジなアルバム。フレーズをこまかくぶつ切りするようにシャウトする歌メロや、美しいコーラスにからんでくるショーン・マッキンのカウンターメロディーのバイオリンは絶妙。骨太で疾走感がありラウド。メリハリを効かすように要所要所でアクセルをゆるめる。パワーバラードのM11や、アコギとピアノをフィーチャーしたミドルチューンの伸びのあるM6など、間口が広い。アコギとピアノと言えばM10も秀逸。ライアンの祖父が58年間連れ添った妻にラブレターを読む姿に感銘を受けて書いた曲で、あたたかく、心に深くしみこんでくる。2005年にベン・ハーパー(G)が脱退しているが、アルバムタイトルのように、どんなに頑丈で高い壁に見えても、実は紙でできた壁なんだというメッセージが、説得力を持って迫ってくる。「おかえりなさいイエローカード」と言いたくなるような名盤!
2007.07.18 リリース
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YELLOWCARD『LIGHTS AND SOUNDS』

Guardians1997年にフロリダで結成されたメロコア・バンドの3rd.。2003年の2nd.「Ocean Avenue」(メジャー・デビュー作)は全世界で200万枚をセールスした。それゆえ今作で大胆に路線変更したのは YELLOWCARD のイメージをあえて壊しておきたかったのだろう。ファンがいつも同じものを期待してフォークとナイフを持って待っているような音楽だけは作りたくなかったのだと思う。だから、YELLOWCARD よお前もエモ路線に走るのかと安直に批評するべきではない。むしろ、YELLOWCARD にこれほど多彩な引き出しがあったのかと感服する。起伏にとんだスケールの大きな物語を1枚のアルバムに収斂したような立体感。アコギ、ピアノ、そしてもちろんストリングスを多用し、ジャンルレスな音世界を描写している。Sean Mackin(Violin)が25人のオーケストラの指揮をとる「How I Go」など、新しい扉を開いた真摯でハイパーな YELLOWCARD がここにはある。
2006.01.18 リリース
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YELLOWCARD『OCEAN AVENUE』

Zenoフロリダ出身のメロコアバンド。2003年当時は、パンクバンドにしてバイオリンを取り入れたのは珍しいスタイル。これがまたうまくからんで鮮やかな音になっている。しかもカントリーをも曲に取り込んで、それでいてメロコアのスピードはしっかりキープ。美しいコーラスがしっかり曲をリードする。アンプラグドのナンバーもあり、ひとつの鉢に異種の植物が群生しているような立体感のアルアルバム。できればもっとドラムの低音域やベースをしっかり前に出せば、さらにラウド感が出ただろうに、おしい。だが、そんな点を差し引いたとしても絶品のメロコア。それにしてもバース部分のギターの刻み方や、転調のセンス、カウンターメロディー(オブリガード)のバイオリンはヤバイ。
2003.08.20 リリース 
  
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ギャラリー
  • courage my love『Becoming』『For Now』
  • courage my love『Becoming』『For Now』
  • AMBERIAN DAWN『Magic Forest』
  • VICTORIUS『DREAMCHASER』
  • STREAM OF PASSION『A WAR OF OUR OWN』
  • DERDIAN『HUMAN RESET』